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一言居士です。これだけは聞いて欲しいと思っていることを書かせていただいております。
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 最近、不動産業者の、特に1990年代以降設立された新興不動産業者の破綻(はたん)が目立つ。東証1部上場のアーバンコーポレイションが8月に民事再生法適用を申請したが、負債総額は約2558億円で今年最大の倒産と聞く。これだけでもわが国経済にとって大きな損失であるし、不動産業者に対しては多くの建設業者が工事債権を持っているから、連鎖的な悪影響も懸念されている。

 多くの新興不動産業者に見られるのは、いわゆる不動産証券化ビジネスにかかわっていたことである。証券化商品によって豊富な資金を集めた外資系金融機関などをバックにオフィスやマンションなどの開発を積極的に行い、これを同じく証券化商品などによって資金調達しているリート(不動産投資信託)や私募ファンドに売却して利益を上げる手法だ。

 不動産の証券化市場は、2001年の改正投資信託法に基づくJリート市場開設などを背景に、海外投資家の積極的な投資などを通じて順調に伸び、2007年度末で年間約8兆4000億円にまで拡大している。不動産の証券化は、国内外からの投資をわが国不動産市場に呼び込んだ。 その結果、地域経済の活性化や優良な都市ストックの形成につながったり、不動産価格の決定メカニズムが透明になったり、投資手段の多様化や金融市場の強化に貢献するものであり、決して否定されるものではない。

 しかし、気をつけなければならないのは、証券化商品自体も成長の過程にあり、決して万能ではないということである。アメリカでは、商業不動産向けローン債権を証券化したCMBS(商業用不動産担保ローン証券)や、さまざまな証券化商品を合成して作った二次証券化商品であるCDO(債務担保証券)などが広く流通したが、これらが、昨年6月に勃発(ぼっぱつ)したサブプライム(高金利型)ローン問題によって機能停止したのである。

 そして、このCMBSなどを利用してわが国新興不動産に融資をしていた外資系金融機関による融資がストップしたのである。

 そこで、物件を緊急に売りに出そうとするも、従来の買い手であったリートや私募ファンドもまた、その買い取り資金の(半分程度は自らの証券発行で調達しているとしても)半分は銀行や外資などから借りているため、物件を取得するどころではない状況である。

 証券化商品も、格付けの見直しや契約事項の標準化など改善策が進められているが、サブプライムローン問題が、米リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)につながり、世界的に資本市場が低迷している今こそ、銀行による間接金融に期待したい。

 8月29日に策定された「安心実現のための緊急総合対策」には中小・零細企業などへの資金繰り対策の拡充、新たな保証制度の導入などが盛り込まれた。また、金融庁も民間金融機関に対し、中小・零細企業向けの円滑な資金供給を要請する文書を出した。

 さらに、こういう時にこそ「日本政策投資銀行」の活用を提案したい。「危機対応策」の制度があるのである。銀行は、現在のわが国経済の危機的な状況を踏まえて、財務の健全性を維持しながらも、取るべきリスクはとって資金の必要な企業に融資を進めるべきだ。

 一方で、すべての経営者は、今までの成功体験に乗ずることなく、自らのデット戦略があまりにリスキーになっていないか、今一度よく見極めることが重要である。


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